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今流行の「ザ・インタビューズ」で受けたご質問にお答えしてるうちに思わず熱が入ってしまい、なかなかに面白い文章になったように思うので、せっかくだからこちらにも転載してしまいます。オリジナルのページはこちら

Logicを使っていて感じる「魅力」について教えてください。

もともとLogicを使い始めたのは極めて不純なきっかけです。

そのきっかけとは、私が20代の頃に勤めていた会社はLogicの全国流通を担っていた楽器問屋だったのですが、当時私がその会社でDTMに強い唯一の人間だったためにLogicの仕入れ担当を任され、そして仕入れ担当としてLogicを憶えるためにと、当時ADBキーだったLogic Platinumが支給された、というものなんです。本当に不純ですいません。。

ちょうどこの頃、シーケンサーソフトで一番のシェアを誇っていたDigital Performerがカラーになり、動作が激重になってしまったのに対し、Logicは同じMacでもサクサク動いてくれるのがとても好印象でした。

ただ当時Logicを使い始めた人は誰もが、最初のMIDIの結線だけで既に挫折しそうになっておりました。エンバイロメントの概念はなかなかに難しく、また日本語取説も最高にわかりずらく、MIDI音源にMIDIを送るのにも相当に苦労した記憶があります。あまりにも音が出ないので、ひょっとしたらMacのせいかもしれないと常に疑心暗鬼になるのが嫌で、この悪戦苦闘の過程でMacにも相当精通するようになりました。これが今の仕事のベースになっている部分もあるので、人間苦労するものです。

最初に苦労した分、一度理解してしまうと手に馴染むのは相当に早かったです。LogicでMIDIの打込みが出来るようになると機能的には全く不満がなかったので、わざわざお金を出して他のソフトに乗り換える理由がありませんでした。

私はLogicを使い始めたバージョンが良かったと思います。Logic Platinum 2.6から使い始めているのですが、この後Audiowerk 8やUnitor 8が発売され、ことオーディオ機能はCubaseと張り合いながらメキメキとバージョンアップをしていきました。Logic 4.1.1から独自のインストゥルメントが発売され始め、使っているうちにどんどん魅力的なソフトに進化していってくれた感があります。ますます乗り換える理由がなくなりました。

今のLogicの人気の一つの起爆剤になったのは、ソフトサンプラーEXS24の発売です。それまでのソフトシンセはどちらかというと音が出るだけで感動というレベルだったことは否めないのですが、EXS24は動作の軽さ的にも機能的にも、ハードサンプラーはもういらないのではないかと思えるほどの魅力を誇っておりました。私もEXS24の登場で、時折しか使わない程度のハード音源は売ってしまったくらいです。

その後Windows版のLogicに乗り換えたり、アップルの買収でMacに戻って来たりと紆余曲折はありましたが、やはりLogicを使い続けています。Logicを使っている理由を今考えると、若いお金がなかった頃に最上位のバージョンを支給されたのが一番大きかった気がしないでもないですが、これまで書いてきたように、他のソフトに移りたいと思わなかったというのが正直なところです。

私がDTMを始めた頃にはそれぞれのソフトに特徴があり、手に馴染む馴染まないと言う明確な違いがありました。そういう意味では、Logicは私の手に馴染むソフトでした。Logicで一番面白かったのは、ある操作を行う時に、その手順が人によってバラバラだということです。これは今でもLogicが持っている最大の「魅力」の一つであり、また未だに言われる「難しい」というイメージの源でもあると思います。

Logicユーザーグループに参加するようになってから、その特徴をさらに認識するようになりました。他の方が自分とは全く違う方法論を取っている場面に出くわすことが多々あり、何年使い続けても常にあらたな発見があるのです。

自由度の高さはイコール敷居の高さにも繋がりかねないのですが、この敷居を乗り越えた時に、手に馴染んだツールとして手放せない物になります。この点においてはLogicは開発者の明確なポリシーが見える希有なソフトです。長年Logicを愛用している者に取って、Emagic創始者のレンゲリングが崇拝されている様は、見方によってはジョブズのそれに近いものがあるかもしれません。

現在Logicはアップルブランドになり、以前に比べると遥かに分かり易く、取っ付き易いソフトに仕上がっております。レコーダーとしての業界標準はあくまでPro Toolsになるとは思うのですが、MIDIの打込み、ソフトインストの動作、プラグインのクオリティ、オーディオ機能、どこを取っても過不足なく、コストパフォーマンス的には素晴らしいものがあると思います。

今のところ相変わらず他のソフトに移る理由がない、私がLogicを使い続けている理由はそんなところです。長文失礼いたしました。

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