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Home » Logic Proレポート, レポート記事 » Logic Pro 9.1.0 を検証する(その1)


64ビットへの正式対応が謳われたMac OS X 10.6 Snow Leopardのリリースから数ヶ月が経ちました。Snow Leopard自体はデフォルトでは実は32ビットカーネル起動であり、64ビットカーネル起動に対応しているマシンもかなり限定されているのが現状です。

しかしMac OS X 10.5 Leopardの頃から、OSが32ビットカーネル起動の状態でも、アプリケーションが64ビットに対応していれば64ビットモードで起動させることはできました。これはSnow Leopardでも同様です。この何とも分かりづらい様々な選択肢がある中、ソフトウェア・メーカー各社も64ビットへの対応にどの程度のプライオリティを置けば良いか迷っていた節さえあります。

この状況にある程度の指針を示すことになるであろう、64ビットモードでの起動を可能にしたLogic Pro 9.1.0がリリースされました。Logicを32ビットモードでのみ使用する場合はLeopard(OS 10.5.7以降)でも良いのですが、64ビットモードでも使用できるようにするにはOS 10.6.2以降(つまり現状での最新OS)が必要になります。(Logic Pro 9.1.0の詳細についてはアップルのサイトにアップされております。こちらをご参照ください。)

logic32_gamen.jpg

OS 10.6.2の状態でLogic Pro 9.1.0へアップデートするとすぐに64ビットモードに切り替わるという訳ではなく、デフォルトではまだ32ビットモードの状態です。今までと違うのは、Logicの起動時に上のようにビットモードの状態が表示されるようになったことです。

64ビットモードで使用するには、Logic Proのアプリケーション・アイコンを選択し「情報を見る」メニューを開きます。すると「32ビットモードで開く」というチェック項目がありますので、このチェックを外します。

Logic64_jyouhou


チェックを外した状態でLogc Proを起動すると、下のように画面からも64ビットモードで起動していることが確認できます。

Logic64_gamen

Logicを64ビットモードで起動させるのに、Snow Leopardが64ビットカーネル起動している必要はありません。Snow Leopardに対応しているマシンであれば、OSを32ビットカーネルでしか起動できないマシンでも、Logicを64ビットモードで起動することが可能です。

ただ64ビットモードを使うメリットを考えると、メモリを4GB以上積んだマシンでないとその恩恵はあまりないように思います。Logic ProとMainStageの64ビットモードの仕様について、FAQがアップルのサイトにアップされておりますので、こちらをぜひご参照ください。

上記リンク先のFAQの中にもあるように、Logic Proを64ビットモードにすると既存の32ビット仕様のプラグインが使えなくなるという訳ではありません。「Audio Unit Bridge」というユーティリティアプリケーションを使い、32ビットのプラグインにもアクセスすることが可能になっております。

Logic64_32bridge

64ビットモードで起動したLogicに32ビットのプラグインが含まれていると、自動的に「32-bit Audio Unit Bridge」というユーティリティアプリが立ち上がってまいります。この時にLogicのプラグインメニューを見ると以下のようになり、64ビットネイティブのプラグインと32ビットブリッジで掴んでいるプラグインが階層に分かれて表示されます。

Logic64_plugin1

32ビットブリッジは全てのプラグインと互換性があるわけではないようで、サウンドウーノの環境ではFxpansion BFD2が表示されなくなりました。さっと確認してみただけですので、他にもあるかもしれません。32ビットブリッジというのはこれまでにない掴み方になりますので、プラグイン側でもアップデートが必要になる場合もあるようです。

現状で64ビットネイティブに対応している他社製のプラグイン・インストは、以下の通り「Spectrasonics Stylus RMX」と「VI Vienna Imperial」のみです。

Logic64_plugin2 Logic64_plugin3

Vienna Ensemble Pro」も表示されておりますが、これは現実的には対応しておりません。(詳細は後述いたします。)

また、もう64ビットに対応済みかと私も勘違いしそうになった「Vienna Instruments」についてですが、OS X版に関しましてはまだ64ビット化されておりませんのでお気をつけください。

また64ビットに対応している他社製プラグイン・エフェクトは、以下の通り「Vienna Suite」のみです。

Logic64_plugin4

Logic標準のプラグイン及び64ビット対応のAUプラグインではメモリをふんだんに使え、32ビットのプラグインとの互換性も保たれているとなると、今すぐにでも64ビットモードで使用した方が良いようにも思えますが、64ビットモードでの使用にはいくつか制限がございます。こちらのアップルのページにその制限が記載されておりますのでご覧ください。

例えばサウンドウーノの環境ではEuphonixのコントローラを使用しているのですが、これらが繋がっている状態でLogic Proを64ビットモードで起動すると以下のような警告を受け、コントローラは使えなくなります。

Logic64_keikoku1

対応するまでコントローラを使えなくなるぐらいは良しとしても、その他の制限も確認してみると、MP3への書き出し、REXファイルの使用、ReWireの使用などができなくなるようですので、結構つらいところもあるかもしれません。

中でも個人的に一番大きいと思われるのは、「Vienna Ensemble Pro」に不具合が生じることです。アップルのページの制限項目の中にある「Vienna Symphonic Library Tool」が何か気になっていたのですが、これはどうも「Vienna Ensemble Pro」を指すようです。

Logicを64ビットモードで使用している場合、「Vienna Ensemble Pro」は32ビット/64ビット共にMIDIの受信に不具合が生じるようで、他のインストをリアルタイムで鳴らしている際にEnsemble Proも常に一緒に発音してしまいます。(プレイバックの際はきちんと再生されます。)またレイテンシーが大きくなったりする場合もあるようで、プラグインとして普通に立ち上がりはするものの、正直使い物にならないと言っても過言ではないレベルだと思います。これは何とも残念な限りです。

それでもLogicが待望の64ビット対応を果たした以上は、そのメモリ使用において大きな恩恵があるはずです。長くなってまいりましたので、ページを分けてLogic Pro 9.1.0のメモリ使用についての検証を続けてみたいと思います。

Logic Pro 9.1.0を検証する(その2)」へ→


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