それでは早速Vienna Ensemble 3の実際の使用方法をご紹介してまいります。今回はDAWにOS X環境(Logic Pro 9を使用)、Vienna Ensemble 3専用機にWindows Vista 64bit環境を例に取って進めてまいります。
Vienna Ensemble 3(以下VE3と表記いたします)をインストールすると、マルチティンバーとして動作する通常のVienna Ensembleの他に、Vienna Ensemble Serverというアプリケーションがインストールされます。
上の画像をご覧いただくと、Vienna Ensemble Service (64-bit) という名前で64bit版もインストールされていることが分かります。このVienna Ensemble Serverを起動すると、以下のような画面が立ち上がります。
VE3専用機はこれで待機状態に入ったことになります。ここでOS X側のDAW(Logic Pro 9)でVienna Ensembleをプラグインとして起動すると、以下のようなプラグイン画面が立ち上がってまいります。
ここでプラグイン画面上の “CONNECT” ボタンを押すと、以下の画面に切り替わります。DAWのコンピュータとネットワークで接続されている、Vienna Ensemble Serverが待機状態のマシンがリストアップされているわけです。(塗りつぶしてあるところにはIPアドレスが記載されております。)
WIN-VISTA64という名前は、サウンドウーノのWin Vista 64bit機のマシン名です。ここでこのWIN-VISTA64を選択し “CONNECT” ボタンを押すと、プラグインは以下の画面に切り替わり、VE3専用機側では自動的にVienna Ensembleが起動してまいります。(画像下)
たったこれだけの作業でネットワーク機能が結ばれたことになります。
プラグイン上のBufferスライダーは、ネットワーク転送のレイテンシーの調整になります。Bufferをゼロに設定するとサンプル・アキュレート・シンクの状態で使用可能とのことなのですが、さすがにネットワーク転送が間に合わず、出音がブチブチ言ってしまいます。ことViennaのようなオーケストラ音源の場合は、デフォルトのBuffer x2のままでも十分実用に堪えると思います。
あとはVE3専用機側でViennaのラリブラリを読み込みMIDIチャンネルを設定してあげれば、DAW側で打ち込んだMIDI情報がネットワークを通じてVE3専用機に送られ、VE3専用機の出音はネットワークを通してDAWのインストゥルメント・トラックのフェーダーに帰ってまいります。文章にすると何だかあっさりとした説明になってしまいますが、実際にVE3専用機の出音がLogicのフェーダーに立ち上がる様は感動を覚えるほどです。
これまでのコンピュータを音源専用機として使用する方法では、DAWとは別に、音源機側にもオーディオインターフェースとMIDIインターフェースが別途必要だったのに対し、このシステムではGigabitイーサケーブル1本だけでいいのです。
またオーディオインターフェースを使用した音源専用機の場合、使用するインターフェースのアウト数によりパラアウトの数が決まってしまいますが、このVE3を使ったネットワークシステムでは、きちんとMIDI 16ch分のステレオ16chパラアウトまで可能なのです。
上画像の左側をご覧いただければお分かりの通り、VE3にはパラアウトの機能があります。DAW側でこのパラアウトを受ける設定にしてあげれば、何と!きちんと16chステレオ・パラアウトの状態でフェーダーに立ち上がります。
それではマルチティンバーのMIDI 16ch分を使い切ってしまったらどうするのでしょう?DAW側でもう一つVienna Ensembleを挟めばいいのです。VE3専用機側では2つ目のVienna Ensembleが自動的に立ち上がります。
2つ目以降のVienna Ensembleももちろん16ステレオ・パラアウトの状態で使用可能です。DAW側ではきちんと32ch分パラアウトの状態で受けております。
このように、例えばVista 64bit環境のVE3専用機を使用することで、64bit環境の搭載メモリを存分に活かせる状態で、Gigabitネットワークの転送速度の限界までViennaのライブラリを使用することが可能になります。この時DAW側は実質MIDIデータを再生しているだけの状態ですから、CPU負荷はもちろんほとんど掛かっておりません。上のLogicの画面でもご確認いただける通りです。つまりDAW側ではVienna以外のプラグインにリソースを十分割り振ることが可能になるわけです。
VE3の画期的な機能はこれだけでは終わりません。何と!!DAWのトータルリコールに対応しております。VE3専用機側であらかじめVienna Ensemble Serverを立ち上げた状態でVE3を使ったプロジェクトを立ち上げると、VE3で使用していたライブラリやミキサー設定なども含めて、自動的に完全に再現されます。その上!!!DAWでのバウンスのオーディオ化までもこなしてくれます。Logic Pro 9で試してみたところ、オフライン・バウンスすら可能でした。
DAWとVE3専用機をネットワーク接続して使用する場合、Viennaで使用する分のCPUパワーやメモリ消費を全てDAWから解放できるだけでなく、あたかもDAW内のプラグインと全く変わらない感覚でVienna Ensembleを使用することが可能になるのです。これは本当に画期的な技術だと思います。
VE3はVSL社WEBサイトでのダウンロード販売のみのソフトウェアになりますが、1本購入すると3台分のVE3のライセンスが供給されます。(Vienna Keyでのオーサライズが必要です。)VE3はMac/Win両対応のハイブリッド仕様ですので、例えば余っているコンピュータを活用し、間にGinabitイーサハブを挟めば、VE3専用機を3台使用することが可能です。
VE3を複数使用する際に、DAWを動かしているコンピュータ上にVienna Ensemble Serverを立ち上げることも可能です。その場合はDAW上のVienna Ensembleプラグインは以下のような状態になり、自身のコンピュータは “localhost” という名前でリストアップされる形になります。
DAWと同一マシンで動かす場合、DAWとは完全に別のアプリケーションとして扱われることになりますので、大容量のメモリを搭載したマシンでしたら、1アプリのメモリ消費限界までライブラリを立ち上げることができます。本当に至れり尽くせりの、使う側の立場に立った素晴らしいソフトウェアであると感心するばかりです。
ここまでたっぷりとレポートさせていただいた通り、本当に素晴らしい機能を詰め込んだVienna Ensemble 3ではございますが、あくまでVienna Instrumentsを使用するためのソフトウェアであり、Vienna Instrumentsを使用していない方に取っては全く意味のないソフトです。
ネットワークを使ったここまで画期的な技術が可能なら、Vienna Ensemble上で他社製のプラグイン・インストゥルメントも使用可能になれば、もうそれは感嘆もののソフトウェアになるのだけれど、、、と夢見ていましたら、何と!!!!そのわがままな要望に応えてくれるソフトウェアが本当に登場してまいりました。
それがVienna Ensemble Proなのです。
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