Lexicon PCM96
Lexiconと言えば、L480などの名機で今でもリバーブのスタジオ定番機材として君臨するブランドです。
プラグインとしてもその昔「Lexiverb」が存在したものの、これはMac OS 9までしかサポートされずに、IRリバーブのプラグインの登場やCPUパワーのアップなどにより、ここ最近は実機をあまり使っていないという方も多いかもしれません。
私が学生の頃などはLexiconと言えばあこがれの機材で、がんばってバイトして月賦でPCM80を買ったものです。
ここ数年、サラウンドにも対応した960L以外での業務用の新機種は発表されておりませんでしたが、ここにきて、PCM96というPCMシリーズの後継とも言える新機種が登場いたしました。
操作としてはいたってシンプル、大きなつまみでプリセットを選択し、その右側にある3つの小さなつまみで簡単なエディットが出来るようになっております。
プリセットを選択すると、あらかじめすぐに変更したくなるパラメーター群が3つのつまみに割り振られているのです。
もちろんエディット画面の階層に深く入って、より細かなエディットをすることも可能ですが、このPCM96の注目すべきところは、LANやFireWireを使ったソフトウェアからのエディットにも対応しているところです。
なかでもFireWireで接続した場合、オーディオのストリーミングをFireWire経由で行い、外部のDSPエフェクト・インターフェースとして動作いたします。
つまりTC PowerCoreやDuendeのように使えるというわけです。
(下段のラックがPCM96。背面はこのような感じです。)
プラグインとしての対応は、現状ではOS X 10.4.9以降(Windowsは未対応です)、AUとVSTプラグインに対応しております。
1台のPCM96で、最大で2系統のステレオ・エフェクトを使用することが可能です。
Pro ToolsにはVST-RTAS Adapter 2を使って対応いたします。
FxpansionのAdapterソフトウェアを持っていなくても、インストーラーにAdapterが組み込まれているので、すぐにRTASとしても使用可能です。
(スペックの詳細はこちらもご参照ください。)
早速Logic Pro 8.0.2でプラグインとして動作させてみました。
他社AUプラグインの項に “Lexicon” というブランド名が登場し、HallやPlate、Roomといった具合に、アルゴリズムごとに選択するプラグインが分かれております。
ここでPlateとHallプラグインを1個ずつ立ち上げてみました。
ラックのカラーリング同様、シャンパン・ゴールドのプラグイン、かなりのインパクトです。
ちなみにFireWire経由でのストリーミング・プラグインとして立ち上げると、PCM96は以下のような画面になります。
このモードでは、操作は全てソフトウェアからになり、アナログやデジタルのイン/アウトも効かなくなるそうです。
実は私、昔からリバーブ・フェチです。リバーブたっぷりのウォール・オブ・サウンドには目がないのです。
しかしリバーブをプラグインで使うのが当たり前になってから、重厚なリバーブのオケというものがなかなかうまく作れず、結構苦労しておりました。
それがこのPCM96はどうでしょう。
CPUベースのソフトウェアでなく実機のDSPを使ってるとはいえ、これまでのリバーブ・プラグインの概念を覆す出音でした。
実は今回、代理店さんからPCM96のデモ機をお借りしての検証だったのですが、もう欲しくてたまりません。
こんな文章だけでは何ですので、非常に簡単ではございますが、試聴用のデータもご用意いたしました。
試聴用のオケは、Logic Pro 8.0.2に付属するAppleループのジングルを使っております。
オケ全体に深めのリバーブを掛けた上で、バウンスにてMP3データにいたしました。
バウンス時にはアウトプットにリミッターを掛けただけで、その他の処理は一切しておりません。
ドライとウェットの両データをご用意いたしましたので、ぜひお聞き比べください。
まずはHallのプログラムです。
続きまして、Roomのプログラムです。
『PCM96なし』
『PCM96 Large Live Room 1』
続きましてはPlateプログラムを2つお聞きいただきます。
『PCM96なし』
『PCM96 Medium Plate 2』
『PCM96なし』
『PCM96 Large Plate 2』
いかがでしたでしょう?
既にミックスされたオケに全体にかけても分かりずらかったかもしれませんが、その存在感のあるリバーブの片鱗はお分かりいただけたかと思います。
実際にマルチトラックデータでも使用してみましたが、CPUベースのリバーブとは確実に一線を画す、非常に気持ちの良いリバーブ感を演出することができました。
これまでのリバーブ・プラグインに不満を持っていた方なら、一度使えば確実に病み付きになる効果だと思います。
前述もいたしましたが、Pro ToolsでもVST-RTAS変換のプラグインとして動作可能です。
レイテンシーも遅延補正機能(Longモード)でカバーできる範囲内です。
サウンドウーノでは、事務所内に設置した試聴ルームを使い、このような検証を日々行っております。
コンピューターとソフトウェア周辺ばかりでなく、こういったアウトボード系やマイク類、制作部屋の環境整備など、音楽制作にまつわる様々なご要望にお応えしております。
ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。
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