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Home » レポート記事, 制作環境の構築 » 2台の拡張シャーシを使ったG5のシステム拡張


実は私、DSP搭載型のカードに目がありません。オーディオカードではCreamware PulsarやSoundscape Mixtream、エフェクト系ではTC PowerCoreやUAD-1など、DSPものにはすぐに手を出してしまいます。

しかしMacintoshのデスクトップ機を使うとき、いつも困るのがPCIスロットの数の少なさです。Power Mac G5以来、PCI-XでもPCI Expressでも3本以上搭載されたことがありません。エフェクト系DSPカードだけで埋まってしまいます。

そんな中、デジデザインのSBS 7Slot 32bit PCI Expansionを入手できました。

SBS_32bit7slot

早速これにUAD-1×2、Powercore Mk2x1を挿してみたところ、見事にPower Mac G5にて認識でき、G5のPCIスロットを2本空けることができました。
そこでG5のもう一つの悩みの種である、内蔵ハードディスクを2個しか搭載できない問題を解消すべく、Sonnet G5 JiveとPCI-X仕様のシリアルATAカードを導入し、750GのHDを2個追加いたしました。

Sonnet_G5_Jive Sonnet_G5_Jive2

しかし今回ショールーム用の機材セットアップをするにあたり、更に大きな問題が出てまいりました。究極のDSPカードとも言える、Pro Tools HD3 Accelを導入することにしたからです。PT HDをメインに置くとなると、PowerCoreとUAD、それにせっかく導入したJive&シリアルATAカードを抜かなければなりません。

そんな中、今度はMagmaの4スロット拡張シャーシを入手することができました。

Magma4Slot2 Magma4Slot

上の写真をご覧いただいてお分かりの通り、Magmaの拡張シャーシはホストとなるカードを変えることで、Mac ProやMacBook Proでも使えるようになります。この拡張シャーシでPT HD3 Accelを認識できれば、G5ではPCIのホストカードを使って(Mac ProではPCI Expressのホストカード)、MacBook ProではExpressCardのホストカードを使ってといった具合にTDMシステムを使い分けられるかもしれません。

早速Magmaの4スロット拡張シャーシにPT HD3 Accelを挿し、まずはG5で使ってみましたが、残念ながら「DAEエラー -4」の表示で起動できません。

Magma4Slot3 Magma4SlotError

エラーの表示からするとCoreカード1枚なら認識できるかもしれませんが、情報によると、Magmaの4スロット拡張シャーシに、ホストカードとしてPCIカード/PCI Expressカード/Expressカードという組み合わせでは、PT HDカードを複数枚認識できず、残念ながら使用できないのだそうです。

そこでPT HD3 AccelはSBSの7スロット拡張シャーシへ入れることにしました。この組み合わせはPT HD ソフトウェアのバージョン7.3ではサポート外になってしまいましたが、7.2まではサポートされておりました。

SBSのシャーシにHD3 Accelを挿し、G5でPT HD ソフトウェア 7.3.1cs3を起動してみたところ、サポート外ながら普通に動作いたしました。いろいろ操作してみても、特に問題なさそうです。

SBSの拡張シャーシは何しろうるさいので、フロントのファンを1つ外し、残る1つも静音ファンへ交換、それにシャーシに入れたPCIカードに上から直接風をあてるようにいたしました。ここら辺の改造は、PCの自作パーツを活用しております。

SBS_32bit7slot2 SBS_32bit7slot3

そしてUAD-1×2、Powercore Mk2x1はMagmaの4スロットの方に挿しました。

Magma4Slot4

これで、SBS 7スロット拡張を使ったPT HD3 Accel、Magma 4スロット拡張を使ったUAD-1×2とPwerCore Mk2、Sonnet G5 JiveとシリアルATAカードを使った750GB HDx2の追加という環境を、1台のPower Mac G5へ組み込むことが出来ました。果たして全部きちんと動くのでしょうか?

動作を確かめるために、UAD-1とPowerCoreのプラグインをFxpansion VST-RTAS Adapter2を使ってRTASに変換し、PT HD3 AccelのDSPをある程度消費した状態で、変換したRTASプラグインをガンガン挟んでみました。

VST_RTAS_UAD_TC

HD3 AccelにUAD-1×2とPowerCore Mk2ですから、正直無理矢理プラグインを増やしましたが、サンプルレート44.1kHz、H/W バッファサイズ512の上のプロジェクトで、ノイズも無く普通に再生しております。

CPUメーターはそれなりに振れてしまいますし、再生中にVST-RTASのプラグインを挟むと、さすがに瞬間的なオーバーロードで止まることもありますが、また再生させれば、何だかあっさりと動き続けてくれます。(ただこれだけPCIに負荷を掛けると、96kHzのセッションでは厳しいかもしれません。この検証はまたの機会に行ってみます。)

PT HD環境だと、レイテンシーの自動補正機能を使うことができるのですが、VST-RTAS Adapter 2は自動補正にも対応しているため、UADやPowerCoreのプラグインを挟んでもレイテンシーを自動補正することができ、極めて快適に使えます。

で、残る1枚のPCIカード、シリアルATAカードにも同時に負荷を掛けてみるために、ベンチマークソフトのXbenchを使い、上のプロジェクトを再生中にカード上のHDの速度測定を行ってみましたが、それでも見事に再生いたしました。

 

2拡張シャーシ

ということでサウンドウーノのショールームでは、PCI拡張シャーシを2台使い、1台のG5の中で、Pro Tools HD3 Accel、UAD-1×2、PowerCore Mk2を同居させ、シリアルATAカードで2つのHDを増設しております。

決してどなたにもお勧めできる環境ではありませんが、古い拡張シャーシはオークションなどで安価に出ていることもありますので、DSPカードの増設などでPCIスロットの不足にお悩みの際は、チャレンジしてみるのもいいかもしれません。(あくまで自己責任でお願いいたします。)

実は、この検証には続きがあります。

Magmaの4スロット拡張シャーシとG5では、UAD-1とPowerCoreは普通に動きました。ではこれらをExpressカードを使ってMacBook Proで使ってみるとどうでしょう?

実は4スロット拡張シャーシには、内部にPC用の5インチベイが1つと3.5インチベイが2つ付いております。下のように、余っているPCIスロットにシリアルATAカードを挿すことで、ハードディスクを3台まで内蔵できるわけです。

Magma4Slot4_HD

この状態できちんと動けば、MacBook Proに3枚のDSPカードと3台のシリアルATA HDを同時に追加でき、なかなか魅力的なシステムに出来そうです。
随分と長い記事になってしまったので、この検証についてはまた次回にしたいと思います。

それでは、また。


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